創業時の資本金について

お客様

Aさんは、自己資金の300万円を元手に、会社を設立登記することにしました。
その資本金に関する説明として適切なのは、次のうちどれですか。
①会社は資本金に相当する現預金を必ず保有しなければならない
②会社は資本金に相当する現預金を必ずしも保有しなくてもよい
③会社は資本金および内部留保に相当する現預金を必ず保有しなければならない

税理士からの回答

 会社の財政状態を表す財務諸表を貸借対照表といいます。
貸借対照表の目的は、資産、負債、純資産の3つの要素により、会社の財産状態を表示することにあります。

 資産:会社が保有している現預金、棚卸資産、固定資産などのすべての財産
 負債:会社が支払義務を負っている借入金などの債務
 純資産:資産から負債を差し引いた資本金、内部留保などの会社の正味財産

 すなわち、純資産とは、会社が保有するすべての財産を売却して換金し、それで、すべての負債を清算した後にのこる、会社の正味の財産のことです。そして、純資産は資本金と内部留保に分けられます。
 資本金とは、会社の株主が出資した元手のことであり、内部留保とは、会社が経営活動により獲得した利益の過去からの累積です。

 Aさんのように300万円を出資して会社を設立した場合の貸借対照表は次のとおりです。

資産300万円/純資産300万円

その後に600万円の銀行借り入れを行った場合は次のとおりです。

資産900万円/負債 600万円
      /純資産300万円

その後に経営活動により900万円稼いだ場合は次のとおりです。

資産1,800万円/負債 600万円
       /純資産1,200万円

 この場合、株主が出資した300万円と、経営活動で獲得した利益900万円の合計1,200万円が会社の正味財産である純資産となります。
 会社は、利益を獲得した分だけ純資産の額を増加させることができ、赤字の場合は減少することとなります。

 それではAさんにおける資本金と現預金の関係はどうでしょう。
 これらの間に基本的に関係性はありません。
 貸借対照表における負債と純資産は、会社が資産をどのように調達したかの源泉を示しているのであり、その資産をどのように保有、運用するかは会社の自由であり、必ずしも現預金で保有するわけではありません。したがって正解は②となります。

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