土地を含めた自宅を贈与した場合の税金

設問 Hさんは、今年結婚して25年になる妻に自宅を贈与することにしました。

自宅は土地と建物を合わせて時価5000万円(相続税評価額2100万円)です。その他の要素を考慮しない場合に、今回の贈与に係る課税価額は次の内どれになるでしょうか。

①0円
②2100万円
③5000万円

目次

 税理士による回答

子育てがひと段落して、これから老後のことを考えていこうとする夫婦などに知っておいて頂きたいのが、今回取り上げます夫婦間における贈与です。

長年連れ添った夫婦間において、自分達が住む不動産やその購入資金の贈与を行った場合、最高で2000万円までは配偶者控除という制度を利用できます。

この場合、前回に解説した贈与税の基礎控除110万円についても併せて認められるので、合計2110万円までは贈与税がかからないことになります。

この制度は、夫婦の財産形成は、夫婦の協力によって得られるものであり、残された配偶者の老後の生活保障を目的とする制度です。

適用に当たっては、次の要件を満たす必要があります。

① 婚姻期間が20年以上の夫婦間で贈与が行われ、配偶者から贈与された財産が、自分が住むための居住用不動産であること、又は居住用不動産を取得するための金銭であること。

② 贈与を受けた年の翌年3月15日までに、その対象となる居住用不動産に、贈与を受けた者が現実に住んでおり、その後も引き続き住む見込みであること。

③ 前年以前に、同じ配偶者から配偶者控除の適用を受けていないこと。

また、この制度利用上の留意点は次の通りです。

金銭を贈与する場合には関係ありませんが、土地・建物を贈与する場合には相続税評価額で算定されるため、場合によっては時価2000万円以上のものを有利に贈与することが出来ます。

従って、将来的に相続税の発生が予想される場合には、土地・建物といった相続税評価額で算定される財産を先に贈与することにより有効な相続税対策になる場合があります。

設問では、自宅の土地と建物を贈与していますので、時価ではなく相続税評価額で算定していく事になります。

そこから配偶者控除2000万円を差し引き、さらに基礎控除110万円を差し引くと、課税価格は0となりますので、正解は①です。

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